🌿この物語は、実際の風景や猫たちとの思い出をもとに、少しだけ魔法をかけて生まれた「Tsumugi村」のお話です。
今日も村のどこかで、小さな出来事が起こっています🏡🐾
窓から差し込む夏の光が、床の上をゆっくり移動していました。
さっきまで聞こえていた、だいちゃんとしょうちゃんのドタバタした音も、いつの間にか聞こえなくなっています。
どうやら、今日は3匹だけのお留守番。
家の中は、しんと静まり返っていました。
……カチ、カチ、カチ。
聞こえてくるのは、壁に掛かった時計の音だけ。
わたしは、まだ布団の上で丸くなっていました。
🌿 静けさのなかで
わたしは、ゆっくり目を開けました。
「……んにゃ。」
まだ少し眠たいにゃ。
前足を伸ばして、背中をぐーっと伸ばします。
布団から降りて部屋を見渡してみても、だいちゃんも、しょうちゃんもいません。
「……どこ行ったにゃ?」
少し前まで、あんなに騒がしかったのに。
耳を澄ませてみます。
……カチ、カチ、カチ。
やっぱり、時計の音だけ。
わたしは、のんびり部屋を出ました。
窓の外には、夏のTsumugi村。
山々に囲まれた田んぼ。
風に揺れる木々。
遠くから聞こえてくる村の音。
いつもと変わらない景色です。
窓辺に座って、しばらく外を眺めていると――
庭の向こうから、だいちゃんとしょうちゃんの声が聞こえてきました。
「しょうちゃん、待つにゃ!」
「待たないにゃ〜!」
どうやら、少し離れたところで、また何か始まったようです。
わたしは小さく息を吐きました。
「……元気にゃ。」
いつものことです。

🐾 いつもの3匹
しばらくすると、だいちゃんとしょうちゃんが戻ってきました。
「そらちゃん、起きたにゃ?」
だいちゃんが、いつものように声をかけます。
「……起きたにゃ。」
しょうちゃんは、わたしの顔を見るなり、
「そらお姉ちゃん、遊ぶにゃ?」
と、ちょこんと近づいてきました。
「遊ばないにゃ。」
「え〜。」
しょうちゃんは少し残念そうにしながら、今度は別のものを見つけて走っていきます。
その後ろ姿を見て、わたしは思いました。
しょうちゃんは、小さい頃から変わらないにゃ。
わたしの後ろをヨチヨチついてきたかと思えば、急に驚かせてくる。
でも――
何かあったときだけは、いつも気になる。
だいちゃんもそう。
優しいけれど、ちょっと心配性。
2匹とも、わたしからすると少し騒がしいけれど。
……まあ。 一緒にいるのも、悪くないにゃ。
🦉 あのフクロウさん

ふと、わたしはフクロウさんのことを思い出しました。
Tsumugi村にやってきた、旅する記者さん。
この前は、わたしたちと一緒に村を歩きました。
田んぼを走ったり。
清流で遊んだり。
竹林を歩いたり。
写真を撮るたびに、ニコニコと嬉しそうに笑っていました。
でも…、わたしには、少しだけ気になることがありました。
フクロウさんは、ときどき村の景色を眺めながら、どこか遠くを見るような顔をするのです。
まるで――
何かを探しているみたいに。
「……なんでだろう?」
わたしにも、その理由は分かりません。
でも、なんとなく。
フクロウさんは、この村に来てから少しずつ笑うことが増えたような気がします。
「また来てくれるかな。」
そう思った自分に、少し驚きました。
🌿 夕暮れの村
やがて、昼の暑さが少しずつ和らいでいきました。
山の向こうへ太陽が傾き、田んぼや家々が柔らかな色に包まれていきます。
昼間は元気だったしょうちゃんも、少し眠そう。
だいちゃんは、そんなしょうちゃんの近くでのんびりしています。
わたしは少し離れた場所から、その様子を眺めていました。
……いつもと同じ。
特別なことなんて、何もない。
それなのに。
こうして3匹で過ごす時間は、なんだか落ち着きます。
🌙 夜になると
夜になりました。
昼間の暑さが少し残る庭に、涼しい風が心地よく吹いています。
空には、大きな月。
虫たちの声が、静かな夜に響いていて。
わたしは縁側から、静かにしばらく月を眺めていました。
夜は、少しだけ苦手です。
昼間は何ともないのに。
夜になると、なぜか胸の奥がキュッと少しだけ寂しくなることがあります。
どうしてなのか、自分でもよく分かりません。
そんなとき。
「そらちゃん。」
振り返ると、だいちゃんがいました。
「……何にゃ?」
「ここにいるにゃ。」
それだけ言って、だいちゃんはわたしの近くに座りました。
しばらくすると、だいちゃんは横になり、近くにあった木のボールを前足で転がし始めました。
コローン。
コローン。
わたしは、ちらっと見ました。
「……遊ばないにゃ。」
だいちゃんは、
「そうかにゃ。」
と言って、またボールを転がしました。
コローン。
コローン。
別に、遊びたいわけじゃない。
でも。
だいちゃんがそこにいることは、なんとなく分かっていました。

🦋 庭に見えた小さな光
しばらくして、わたしは庭のほうへ目を向けました。
そのとき――
草むらの向こうで、何かが光ったような気がしました。
「……?」
小さな光。
ふわっ。
また、ふわっ。
月明かりとは違う、淡い光でした。
まるで、小さな蝶々が光をまとって飛んでいるようにも見えます。
わたしは、そっと立ち上がりました。
一歩。
もう一歩。
でも、光はすぐに草むらの向こうへ消えてしまいました。
「……なんだったんだろう?」
しばらく、その場所を見つめます。
怖くはありませんでした。
むしろ――
どこか懐かしいような。
そんな気がしました。
でも、今夜は追いかけません。
わたしは静かに縁側へ戻りました。

🎋 あの夜のこと
布団に戻る前に、ふと思い出しました。
盆踊りの夜。
わたしたちのそばにいた、もう一匹の猫。
竹林の奥で見かけた、淡い女の人。
そして、この前見た――
キツネのお面をつけた女の子。
みんな、誰だったんだろう。
わたしには、まだ分かりません。
でも。
Tsumugi村には、わたしたちが知らないものが、まだまだたくさんあるようです。
「……また、会うのかにゃ。」
そう呟いて、わたしは空を見上げました。

🐾 そばにいる
夜も、だいぶ遅くなりました。
しょうちゃんは、もう眠っています。
だいちゃんも、少し離れたところで丸くなっていました。
わたしは、その姿を眺めます。
昼間は、あんなに騒がしいのに。
今は、静か。
でも。
ちゃんと、そこにいる。
わたしは、ゆっくり目を閉じました。
だいちゃんが、そばにいる。
しょうちゃんも、ここにいる。
きっと明日も、いつもと変わらない一日が始まるのでしょう。
……それでいいにゃ。
少しだけ、眠くなってきました。
わたしは小さく丸くなりながら、最後に一度だけ、隣を見ました。
そして――
「……今日も、そばにいるにゃ。」
Tsumugi村の夜は、静かに更けていきました。

最後に✿
Tsumugi村で過ごす毎日は、いつも特別なことが起こるわけではありません。
朝から元気に走り回る2匹がいて。
わたしは少し遅れて起きて。
昼間は、それぞれ好きな場所で過ごして。
夜になると、みんなで静かに眠る。
そんな、いつもの毎日。
でも、こんな何気ない毎日の中にも、気づかないだけで小さな出来事が隠れているのかもしれません。
この前、フクロウさんと村を歩いたときにも、私は少し不思議なものを見ました。
そして今夜も、庭で小さな光を見つけました。
あれが何だったのかは、まだ分かりません。
でも、いつかまた会えるような気がしています。
そのときには、もう少し近くまで行ってみようかな。
……でも、今日はもう眠いにゃ。
わたしは、だいちゃんとしょうちゃんの気配を感じながら、静かに目を閉じました。
それでは、また村のどこかで。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました😊
だいちゃん店長また村に遊びに来てにゃ
作者より
今回は、初めて「そらちゃん」の目線からTsumugi村を描いてみました😊
普段は少し控えめで、奥の部屋で過ごすことの多いそらちゃん。
でも、ふとしたときに誰かの変化に気づいたり、何かを感じ取ったり。
そんなそらちゃんの姿を思い浮かべながら、このお話を書きました。
実際の3ニャンも、いつもベタベタ一緒にいるわけではありません。
それぞれ好きな場所で過ごしながら、何かあれば自然と近くにいる。
そんな3ニャンの距離感も、Tsumugi村では大切に描いていけたらと思っています😊
そして今回、そらちゃんが見つけた小さな光。
あれはいったい何だったのでしょう……?🦋
まだ、私にも分かりません🤭
Tsumugi村には、まだまだ私たちの知らない場所や、不思議な出来事がたくさんありそうです。
いつか、そらちゃんがあの光をもう一度見つける日が来るのか。
それとも、別の誰かが先に見つけるのか。
それは、もう少し先のお話で。
また次のお話でお会いしましょう🏡🐾✨
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今回のお話の元となったリアルな3ニャン日記はコチラ👇️


実際に見た景色や、我が家の3ニャンたちに少し魔法をかけた創作「Tsumugi村物語」が2026年8月よりスタートしました。
季節だよりで紹介した、あの場面、風景ももしかしたら…ぜひ合わせて見に来てくれたら嬉しいです。












