🌿この物語は、実際の風景や猫たちとの思い出をもとに、少しだけ魔法をかけて生まれた「Tsumugi村」のお話です。
今日も村のどこかで、小さな出来事が起こっています🏡🐾
真夏のTsumugi村。
この村へやってきて、少しだけ日が経ちました。
空には真っ白な雲が浮かび、今日も強い陽射しが山々や田んぼを照らしています。
木々の間からは蝉の声が聞こえ、時折、風が吹くとさらさらと揺れる葉っぱたち。
まだまだ暑い夏の日。
けれど、村の景色には、ほんの少しだけ季節の変化が混ざり始めています。
そして、私は今日もそんな村の風景を眺めながら、カメラを肩にかけて歩いていました。

🏡 少しずつ、村の道を覚えてきました。
最初にこの村へやってきた頃は、右も左も分からず見るものすべてが珍しくて。
どこへ行っても、
「これは記事にできそうだ」
「ここには、まだ知られていない何かがあるかもしれない」
そんなことを考えながら、シャッターを切っていました。
けれど、最近は少し変わってきたような気がします。
田んぼへ続く道も。
竹林へ向かう小路も。
村の人たちが行き交う場所も。
いつの間にか、少しずつ見覚えのある景色になっていました。
そんなことを考えながら歩いていると――
前から、見覚えのある3匹の猫が楽しそうに歩いてくるのが見えました。
🐾 3匹の猫からの思わぬお誘い
「おや?」
私は足を止めました。
3匹そろって、どこかへ向かっているようです。
「おや? 揃ってお出かけですか?」
声をかけると、だいちゃんもこちらに気づき、
「今日は、そらちゃんが遊びに連れてってくれるんにゃ」
その隣でしょうちゃんが、
「チョン♪」
と、いつものように楽しそうにしています。
すると、そらちゃんが私のほうを見て、にっこり笑いました。
「だいちゃんとしょうちゃんを連れて行ってあげようと思ったところがあるにゃ」
そして、少し考えるように首を傾げると、
「フクロウさんも、村に来てまだ間もないし……」
「良かったら一緒に行きましょう。村を案内しますよ」
そう言ってくれました。
私は少し驚きました。
村を案内してもらえる。
それなら、何か記事の題材になるものも見つかるかもしれません。
「それは、ぜひお願いしたいですね。」
そう答えて、私は3匹の後について歩き始めました。
このときの私は、まだ少しだけ。
「今日は、どんなものが見つかるだろう」
そんな記者としての気持ちを持っていたのです。
🌾 夏の田んぼを駆けて
3匹について歩いていると、やがて山々に囲まれた田んぼが見えてきました。
もくもくとした入道雲。
青い空。
遠くまで続く田んぼと緑。
その景色を眺めていると、突然――
3匹が一斉に走り出しました。
「わぁ……」
さっきまで私の前を歩いていた3匹が、まるで子どものように田んぼのあぜ道を駆けていきます。
だいちゃんも。
しょうちゃんも。
そして、そらちゃんも。
楽しそうに走っています。
私は慌ててカメラを取り出しました。
「これは……今がシャッターチャンスですね」

📷️一枚。そして、もう一枚。
3匹の姿を追いかけながら、何度もシャッターを切りました。
気がつけば私は、記事にできそうな場面を探していたことなどすっかり忘れて、ただ、3匹と夏の風景があまりにキレイで夢中で写真を撮っていたのです。
💧 清流で見つけた、小さな夏
田んぼを抜けると、山へ続く小さな道がありました。
その先から、さらさらと水の音が聞こえてきます。
「ここです」
そらちゃんが振り返りました。
そこには、村の山々から流れてくる、澄んだ清流がありました。
水面が陽射しを受けて、きらきらと輝いています。
「わぁ……綺麗ですね。」
私がそう言うと、しょうちゃんが水辺へ駆け寄りました。
そして――
「あっ!」
水の中を泳ぐ魚を見つけたようです。
「お魚さんにゃ!!」
しょうちゃんは初めて見るお魚さんに大喜び。
水の中を覗き込みながら、夢中になっています。
その様子を見ていた私は、またカメラを構えました。
一方、だいちゃんは少し離れたところから、しょうちゃんを眺めています。
「ちゃんと見てるにゃ」
どうやら、水が少し怖いようです。
でも、しょうちゃんが夢中になっているのを、ちゃんと見守っています。
そして、そらちゃんはというと――
木陰で、ゆっくり休んでいました。
川の音。木々を揺らす風。ひんやりとした木陰。
あまりにも気持ちがいいのでしょう。
そらちゃんは、小さくあくびをしました。
「ふふっ」
私は思わず笑ってしまいました。
「眠たくなってきましたか?」
声をかけると、そらちゃんは少しだけ目を細めたように見えました。
そんな3匹を見ていると、私の胸の中にも、なんともいえない穏やかな気持ちが広がっていきます。
今日の私は、ずいぶんたくさん写真を撮っているようです。
けれど――
もう、記事のためだけではありませんでした。
この時間を残しておきたい。
そんな気持ちで、私はもう一度シャッターを切りました。

🐾 帰り道は、僕に任せてにゃ
楽しい時間は、あっという間でした。
「そろそろ帰らないと、ママが待ってるにゃ」
そらちゃんの合図で、3匹と歩き始めます。
清流から上がると、今度は竹林へ続く道がありました。
さっきまで遊んでいたしょうちゃんは、すっかりご機嫌です。
そらちゃんは、竹の葉が風に揺れる音を聞きながら、気持ちよさそうに歩いています。
そして――
だいちゃんが突然、胸を張りました。
「帰り道は任せてにゃ!」
どうやら、先頭を歩く気満々のようです。
「大丈夫ですか?」
私が笑いながら声をかけると、「任せてにゃ!」と、ますます張り切って歩いていきます。
私はそんな3匹の後ろを歩きながら、今日一日のことを思い返していました。
田んぼを駆け回ったこと。
清流で魚を見つけたこと。
そして、竹林を歩いている今も、3匹はとても楽しそうです。
すると、だいちゃんが振り返りました。
「フクロウさん、今度はDAI-CHAN CAFEにも遊びに来てにゃ」
「そうにゃ、にゃんこクッキーがオススメにゃ♪」
しょうちゃんも笑顔で振り返ります。
「ふふっ。それは、ぜひ食べてみたいですね」
私が答えると、
今度はそらちゃんが、
「写真もいっぱいあるから、見に来てにゃ」と言いました。
「写真?」
「うん。今年の夏の写真がいっぱいあるにゃ」
「今年の夏……?」
私が聞き返すと、
「ママと海に行ったり、夏祭りに行ったりしたにゃ」
だいちゃんが得意そうに付け加えます。
「スイカ割りもしたにゃ」
しょうちゃんも負けずに、
「カニさんとも遊んだにゃ♪」
「……カニさん?」
思わず聞き返してしまいました。
3匹は顔を見合わせると、楽しそうに笑っています。
どうやら、私の知らない3匹の夏は、まだまだたくさんあるようです。
「それは……ますますDAI-CHAN CAFEに行ってみたくなりました。」
そう言うと、3匹は嬉しそうに笑いました。
私は、そんな3匹の後ろ姿を眺めながら、カメラを構えました。
竹林を抜ける風。
揺れる笹の葉。
その中を歩いていく3匹。
今日という日の記念に――

🦊 竹林の向こうにいた女の子
そのときでした。
カメラを下ろした私は、竹林の横に何かいることに気づきました。
女の子がこちらを見ています。
そして――その顔には、キツネのお面。
「……あれ?」
私は思わず立ち止まりました。
女の子は、何も言わず、ただ、こちらを見ながら優しく微笑んでいます。
私はもう一度、よく見ようとしました。
けれど、その瞬間、竹の葉が風に揺れました。
そして、ほんの一瞬、目を離した間に――
女の子の姿は、もう見えなくなっていました。
「………」
私は3匹のほうを見ました。
けれど、3匹は何も気づいていない様子で私は少しだけ考えました。
けれど、「まあ……Tsumugi村ですからね」そう思うことにしました。
この村では、少し不思議なことが起きる。
そんなことにも少しずつ慣れてきたのかもしれません。
🏡「ただいま」と「おかえり」
3匹の家へ向かって歩いていくと、やがて見えてきたのは、3匹とママが暮らす家。
縁側では、3匹の帰りをママが待っていました。
そらちゃんが嬉しそうに駆け寄ります。
「ママ〜、ただいま」
「今日は川でお魚さん見つけたよ」
しょうちゃんも楽しそうに話します。
だいちゃんは、
「ちゃんと見守ってたにゃ。今日はフクロウさんも一緒だったにゃ」
と、今日の出来事を報告しています。
ママは3匹を優しく迎えました。
「おかえり」
その声を聞いた私は、少し離れたところで立ち止まりました。
3匹が帰っていく。待っている人がいる。帰る場所がある。
そんな当たり前のような光景が、なぜかとても温かく感じられました。
私は、しばらくその光景を眺めていました。
そして――
自分でも気づかないうちに、小さく呟いていました。
「……ただいま」

🌳 大きな木の上で
3匹の家を後にした私は、村の外れにある大きな木へ向かいました。
昼間にも見た、あの大きな木。
昼間の暑さが少し和らぎ、夜風が心地よく頬を撫でていきます。
私は羽を広げ――
ふわりと枝へ飛び移りました。
目の前に広がるTsumugi村の家々や、田んぼ、山々。
昼間は気づかなかったけれど、ここから見ると村の灯りも小さく見えます。
そして頭上には、夏の星空と月が優しく浮かんでいました。
しばらく何も考えずに眺めていると、不思議と心が落ち着いてきました。
そっと浮かんできた今日の出来事。
田んぼを走る3匹。
清流で魚を追いかけるしょうちゃん。
それを見守るだいちゃん。
木陰で眠たそうにしていたそらちゃん。
あんなに夢中でシャッターを切ったのはいつ振りだろうか…。
そして――
「ただいま」、「おかえり」、そんななにげない言葉が、なぜか心に残っていました。
自分にも、「おかえり」と言ってくれた誰かがいたのだろうか。
けれど、その答えはまだ見つかりません。
私は苦笑して、空を見上げました。
「……やっぱり、まだ……」
そう呟いた声は、夏の夜風に乗って、静かさの中へ消えていきました。

最後に✿
私は、Tsumugi村へやってきて、まだそれほど長くはありません。
けれど、今日初めて村の誰かに、「一緒に行きましょう」と声をかけてもらいました。
村の自然の中、無邪気に遊び、笑い、
最後には、「おかえり」という言葉まで聞きました。
3匹と過ごしたあっという間の時間。
私はいつの間にか――
この一日そのものを、心に残しておきたいと思うようになっていました。
そして今日、私はたくさんのことを知りました。
この村にある田んぼや清流、竹林のこと。
3匹の猫たちのこと。
そして、村に暮らす人たちのこと。
けれど、不思議なことに――
村のことを知れば知るほど、まだ知らないこと、知りたいことが増えていくのです。
Tsumugi村には、きっとまだ私の知らない場所がたくさんあります。
明日は、また違う景色に出会えるかもしれません。
それが、少し嬉しくもありました。
私は月を見上げながら、小さく笑いました。
「明日は、どこへ行ってみようかな」
それでは、また村のどこかで。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
だいちゃん店長また村に遊びに来てにゃ
作者より
今回のお話は、実際に私が見た夏の風景から生まれました。
山々に囲まれた田んぼでは、
「ここに3ニャンがいたら……」
と、3ニャンが元気に駆ける姿が目に浮かんで。
木々の間を流れる清流では、
「しょうちゃんは、お魚を見つけたら大喜びしそう😂」
「だいちゃんは、水がちょっと怖いかな🤭」
「そらちゃんは、木陰で気持ちよさそうにお昼寝してそう😊」
……なんて、いろいろ想像しているうちに、いつの間にかTsumugi村の景色になっていました。
もちろん、リアルな3ニャンはお外には出ません。
だからこそ、私の頭の中で3ニャンを自由に遊ばせてみました。
そうして生まれたのが、今回の「村探検ツアー」です🌿🐾
現実の風景に、少しだけ想像の翼を広げて。
これからも、そんなふうにTsumugi村の物語を育てていけたらと思っています😊
そして……どうやらフクロウさんも、少しずつ村に馴染んできたようです🤭
次は、村のどこへ行くのでしょうか。
実際に見た景色や、我が家の3ニャンたちに少し魔法をかけた創作「Tsumugi村物語」が2026年8月よりスタートしました。
季節だよりで紹介した、あの場面、風景ももしかしたら…ぜひ合わせて見に来てくれたら嬉しいです。















